待望のAI機能「Apple Intelligence」が2025年4月1日、ついに日本でも利用可能になりました。iOS 18.4のリリースと共に実装されたこの機能は、昨年末から米国など一部地域では先行提供されていましたが、日本ユーザーにとっては初めての体験となります。
静かに革命を起こすOS内蔵型AI
iPhone 16 Plusで実際に1週間試用してみると、ChatGPTやGemini、Claudeといった独立型AIサービスとは一線を画す体験が待っていました。OSそのものに組み込まれたAIは、アプリを立ち上げるといった明示的な操作なしに、日常的な使用シーンに自然に溶け込んでいます。
写真編集の新たな可能性「クリーンアップ」
特筆すべきは写真アプリの「クリーンアップ」機能です。Android陣営のPixelシリーズなどで人気を博した「消しゴムマジック」に相当するこの機能は、iPhone写真編集の新境地を開きました。
操作は直感的で、写真編集画面から「クリーンアップ」を選択し、消したい部分をなぞるだけ。AIが周囲の背景を分析し、違和感なく対象物を除去します。写り込んだ指や背景の通行人など、小~中程度の不要オブジェクトであれば驚くほど自然な仕上がりに。複雑な背景や大きな被写体では多少の違和感は残るものの、日常的な写真補正には十分な性能を発揮します。

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文章も画像も生成可能な統合AIツール
「作文ツール」や「Image Playground」といった生成AI機能も注目に値します。特に実用性が高いのは「メールの要約」機能で、長文メールの内容を一目で把握できることから、ビジネスユーザーにとっての時間節約ツールとなりそうです。
これらの機能が優れているのは、サードパーティアプリではなくOSネイティブの機能として実装されている点です。追加インストールや複雑な設定なしに、誰もが簡単にAIの恩恵を受けられる設計になっています。
AIアシスタントの新しいカタチ
従来の対話型AIと異なり、Apple Intelligenceは「AIを使っている」という意識を前面に出さない設計が特徴的です。プロンプトを考えて入力するようなアクティブな操作よりも、必要なときに自然とサポートしてくれるパッシブな存在感が心地よく感じられます。
今後の展望と課題
もちろん、Image Playgroundの画像生成が欧米的なテイストに偏っていたり、「通知の要約」機能の精度にばらつきがあるなど、改善の余地はあります。しかし、今後のアップデートでこれらの課題は解消されていくでしょう。
2年後には「AIなしのスマホは考えられない」と言われる時代が来るかもしれません。すでにその第一歩として、画面の周囲が光るSiriの新しい起動演出や、キーボードからの直接テキスト入力対応など、地味ながら実用的な改良も見られます。
Apple Intelligenceの日本上陸は、スマートフォンとAIの関係性を根本から変える可能性を秘めています。今後の進化に大いに期待が持てる一方で、ユーザー自身も新しい使い方を模索していく必要があるでしょう。